土器の分析から何がわかるのか?

土器の分析から何がわかるのか?

カンデレロス(Candeleros)の事例

著者:Yolanda Peláez Castellanos
翻訳:Reina Nishihara

発掘調査で見つかる土器は、当時の作り手が「何に使うか」によって形を使い分けていました(たとえば、料理には「ツボ」、食事には「鉢」といった具合です)。

下の図にある非常にユニークな形の土器は、ほぼテオティワカンだけで作られていた独特なものです。これと同じような器が遠く離れた別の遺跡で見つかることもあり、そのたびに「ここにテオティワカンの人々がいた」あるいは「強い影響を受けていた」という証拠と考えられてきました。

異なる時期のカンデレロス(写真: Fredy Álvarez)

これらの器は非常に小さく、1つ(約4×5×4cm)または2つ(約5×8×5cm)の円筒形の穴(チャンバー)が開いています。2つの穴があるタイプには、側面に小さな貫通穴が開いているのが一般的です。

「カンデレロ(燭台)」という名称は、植民地時代に先住民たちがこれらを「ろうそく立て」として再利用していたことに由来しますが(Ceballos 1992)、テオティワカンが栄えていた時代には、まだろうそく自体が存在していませんでした。

カンデレロスの分析からは、以下のようなことが明らかになっています(Peláez 2018):


1. 製作(PRODUCTION)

  • 装飾技法: 表面を観察すると、指で押した跡や、刻み目、穴を開ける技法など、当時の装飾のやり方がわかります。
  • 手間の違い: 時期によって製作にかける熱量が異なります。たとえば「ショラルパン(Xolalpan)期」の縁が磨かれたものは、「メテペック(Metepec)期」の指紋が残っているような簡素なものよりも、作るのに時間がかかっていました。
  • 時代による変化: 物理的な特徴に基づいて分類した結果、既存の年代表(Rattray 2001)に照らし合わせると、カンデレロスは約400年間(西暦250年〜650年頃)にわたって作られ続けていたことが判明しました。

2. 用途(USE)

器に残されたいくつかの特徴が、使い道のヒントを与えてくれています。

  • 燃焼の跡: 穴の内部に黒い跡が残っていることから、中で「何か」を燃やしていたことがわかります。
  • 有機物の残留: 実際にいくつかの器の内部からは、炭化した植物などの有機物の残骸が発見されています。

この小さな土器は、テオティワカンの人々が家庭や個人的な空間で香を焚くなど、日常的な儀礼に使っていた重要な道具だったと考えられています。

燃焼の痕跡が残るカンデレロス(写真: Fredy Álvarez)

これらの遺物に何が含まれていたかを特定するため、化学残留物分析が行われました。液体や半液体の物質がこぼれた際、その成分は土器表面の微細な孔(あな)に蓄積されます。

使用が繰り返されたり、大量の物質が堆積したりした場合、スポット・テスト(簡易化学試験)と呼ばれる手法を用いて、リン酸塩、炭酸塩、タンパク質、脂肪酸、炭水化物などの成分を特定し、pH値を測定することができます(Barba et al. 2008)。

この手法は、土壌の化学分析にも応用されているものです。

すべてのカンデレロスから明確な結果が得られたわけではありませんが、特定された成分の組み合わせから、以下のような活動があったと解釈されています(Peláez 2018)。

  • セルロース(植物繊維)の緩やかな燃焼
  • 動物由来の物質の存在
  • 樹脂の燃焼

3. 堆積(DEPOSITION)

発掘調査で遺物が見つかる場所は、必ずしも「使われていた場所」ではなく、「捨てられた場所」であることもあります。とはいえ、テオティワカンのさまざまな場所や、その近辺で使用されていた可能性は十分にあります。

カンデレロスの大部分は、住居空間(ドメスティック・スペース)に関連して発見されています。

  • 調査結果: 本プロジェクト(PPC)で分析されたカンデレロスの大部分(77%)は「フロントC」と呼ばれるエリアから出土しました。
  • 居住区の裏付け: もともとこのエリアは居住区ではないかという仮説がありましたが、これまでは一部の部屋しか見つかっていませんでした。今回、カンデレロスが大量に発見されたことは、このエリアが居住用として使われていたという説を強力に後押ししています。

カンデレロスが出土した発掘区と、各フロントにおけるサンプル存在比率(マップデータ ©PPC、ヨランダ・ペラエスによる修正)

参考:

Barba, Luis, Roberto Rodríguez, y José Luis Córdova

1991      Manual de técnicas microquímicas de campo para la arqueología. Instituto de Investigaciones Antropológicas, Universidad Nacional Autónoma de México, México, D.F.

Barba, Luis

2008       Los residuos químicos en cerámica. Indicadores arqueológicos para entender el procesamiento de alimentos y el uso de recipientes. In Quaderni di Thule VIII. Atti del XXX Convegno Internazionale di Americanistica, pp. 721-728. Centro Studi Americanistici Circolo Amerindiano, Perugia.

Barba Luis, Agustín Ortiz y Alessandra Pecci

2014       Los residuos químicos. Indicadores arqueológicos para entender la producción, preparación, consumo y almacenamiento de alimentos en Mesoamérica. Anales de Antropología 48(1):201-239.

Ceballos Novelo, Roque

1922      Candeleros. En La población del valle de Teotihuacan, Vol. 1, edited by Manuel Gamio, pp. 205-212. Secretaría de Agricultura y Fomento, Dirección de Antropología, México, D.F.

Rattray, Evelyn

2001      Teotihuacan: cerámica, cronología y tendencias culturales. Instituto Nacional de Antropología e Historia and University of Pittsburgh, México D.F.

Ortiz, Nidia

2006      El candelero: estudio comparativo sobre su función en Teotihuacan durante el Clásico, Epiclásico y Posclásico Temprano. Tesis inédita de licenciatura en Arqueología, Escuela Nacional de Antropología e Historia, México, D.F.

Peláez Castellanos, Yolanda

2018       Los candeleros del Complejo Plaza de las Columnas, Teotihuacan. Tesis inédita de licenciatura en Arqueología, Universidad de las Américas, Puebla, Cholula, Puebla.