遺物の回収

遺物の回収

ふるい分け、収集、そして記録

発掘調査では膨大な量の土(堆積物)を掘り起こしますが、その土はすべて金属製のメッシュに通して「ふるい」にかけられます。この作業によって、小さな遺物や、当時の環境を知る手がかりとなる自然遺物(動植物の遺体など)を漏らさず回収することができます。

この写真は、試掘坑(テストピット)から掘り出された土を、作業員が粗い目のふるいにかけて調査している様子です。

2016年度の「石柱の広場」複合体プロジェクトにおける、粗い目でのふるい分け(コース・スクリーニング)の様子

また、一見しただけでは気づかないような小さな遺物や自然遺物(植物の種子や小動物の骨など)を回収するために、土壌サンプルの「微細ふるい(ファイン・スクリーニング)」も行っています。

下の写真は、その作業の様子です。

Fine screening, 2015
2015年度に行われた、微細ふるい(ファイン・スクリーニング)の様子
Labels used at the project
プロジェクトで使用されているラベル(タグ)

ふるいから回収された遺物(人工遺物)や自然遺物は、まず素材の種類(土器、石器、骨、雲母、木炭、貝など)ごとに分類されます。その後、それぞれの素材の特性や保存状態に合わせて、適切な容器(紙袋、ビニール袋、プラスチック容器など)に保管されます。

各袋のラベルには、その遺物がどこから出土したかを示す情報(出土位置情報)と共に、個別の識別番号が記入されます。右の写真は、本プロジェクトで使用されているタグの一例です。

出土品の記録

素材ごとに分けられたすべての袋は、回収日、出土場所、深度といった関連情報とともに、プロジェクトのデータベースに記録されます。

私たちが発見する考古学資料の出土状況や、一般的な分類については、以下のリンクからご覧いただけます。


なぜ出土品の記録が重要なのでしょうか?

他のセクションでも触れたように、考古学は調査対象となる遺跡を「永続的に変えてしまう(破壊してしまう)」学問です。そのため、発掘の「前・最中・後」というすべてのプロセスにおいて、可能な限り多くの情報を記録しておくことが不可欠です。

データベースへの登録に加え、出土した時のままの状態(コンテクスト)を写真や図面で記録します。その理由は、遺物の中には保存状態が非常に悪いものがあり、取り上げた瞬間に粉々になったり、壊れてしまったりすることがあるからです。こうした画像記録は、後に研究所で保存処理や分析を行う専門家にとって、極めて貴重な資料となります。

分かりやすい例が「壁画の破片」です。
壁画は地中に埋まっている間に蓄えた水分を、地上に出した瞬間から徐々に失っていきます。例えば、直射日光にさらして急激に乾燥させてしまうと、破片が割れたり崩れたりすることがあります。そのため、写真記録は、壁画に何が描かれていたのかを復元しようとする際に非常に大きな役割を果たすのです。


サンプリング

化学分析を行うために、遺構やその特徴的な部分からサンプルを採取します。
例えば、土壌サンプルは「フローテーション(水選)」という方法で処理されます。

これは、土を水の中に入れて細かなふるいにかける手法です。水面に浮いてくる植物遺体(ライト・フラクション:軽比重分画)と、通常のふるいでは見落としてしまうような小さな資料、例えば微小な骨や石器の製作屑など(ヘビー・フラクション:重比重分画)をそれぞれ回収します。

大型の自然遺物もフローテーションで得られたサンプルも、さまざまな専門的な手法で調査・分析することができます。古代の床面から回収されたほんの小さな破片であっても、土壌化学分析に回すことが可能です。詳細については、「分析」のセクションをご覧ください。