遺跡から見つかるもの
発掘調査では多種多様なものが見つかりますが、それらは特徴によって大きく4つのカテゴリーに分類されます。
遺跡から見つかる4つのカテゴリー
- 遺物(Artifacts / アーティファクト)
土器、石器、装飾品など、人間が作り、使用した「道具」のことです。 - 自然遺物(Ecofacts / エコファクト)
動物の骨、植物の種、貝殻など、人間が利用した自然界のもののことです。当時の食生活や環境を知る手がかりになります。 - 建造物(Structures / ストラクチャー)
神殿、住居、壁、ピラミッドなどの「建物」そのものを指します。 - 遺構(Features / フィーチャー)
柱を立てた穴(柱穴)やゴミ捨て場、炉の跡など、人間の活動によって作られた「動かせない痕跡」のことです。
「持ち帰れるもの」と「動かせないもの」
調査の進め方は、これらが「動かせるかどうか」で決まります。
- 持ち出せるもの(遺物・自然遺物):
これらは持ち運びが可能なため、現場から研究所へ運び、専門家がじっくりと詳しく分析することができます。 - 動かせないもの(建造物・遺構):
建物や柱の穴などは、その場所から動かすことができません。そのため、写真や図面、最新の測量技術を使って正確に「記録」を残すことが基本となります。動かせない遺構については、例えば「柱穴の中にたまっていた土」だけをサンプルとして持ち帰り、そこに含まれる微細な成分を分析することで、当時の状況をさらに深く探ることもあります。
このように、手に取れる小さな破片から、動かすことのできない大きな建物の跡まで、すべての要素を組み合わせることで、古代の人々の暮らしを調べていくのです。
遺物(アーティファクト)
遺物とは、特定の時代や場所において、人間によって作られたり加工されたりした「持ち運び可能な」残存物のことです。
例としては、土器(小像、皿、花瓶、壺など)、石器、彫刻が施された骨や貝殻などが挙げられます。それぞれの遺物から、当時の人々がどのように材料を調達し、作り、使い、そして捨てたのかという多様な情報を得ることができるため、先スペイン期社会の日常生活を理解する上で欠かせない存在です。
遺物は、古代の人々が日常生活の中でどのようにさまざまな素材を取り入れていたのか、またそれらがどのような技術で作られたのかについて、多角的な証拠を示してくれます。
さらに、原材料や完成品の動きを追跡することで、考古学者は他の都市との貿易ネットワークを復元することもできます。
自然遺物(エコファクト)
自然遺物とは、遺跡から見つかる天然の有機物や無機物の残存物のことで、人間の活動によってその場所に運ばれたり、堆積したりしたものを指します。
具体例としては、植物の種子、木炭、鉱物、そして加工されていない貝殻や動物の骨などが挙げられます。これらは人間が作り出した「道具(遺物)」ではありませんが、当時の人々の食生活や、周囲にどのような自然環境が広がっていたのかを知るための重要な手がかりとなります。
自然遺物(エコファクト)を分析することで、さまざまな地域や時代の動植物相(ファウナ&フローラ)を復元することができ、ひいては過去の環境を知る大きな助けとなります。
例えば、見つかった種子を種(しゅ)のレベルまで特定できれば、かつてその場所にどのような植物が生い茂っていたのかを正確に判断することができます。
より詳しく知りたい方は、「ラボ(研究所)での分析」の記事をご覧ください。
建造物と遺構(ストラクチャー・アンド・フィーチャー)
考古学において「建造物(ストラクチャー)」という言葉は、土、石、木などの耐久性のある素材で作られた、持ち運びのできない建築要素を指します。その形態は、土地を平らにならした基盤層から、壁、床、住居、さらには太陽のピラミッドのような巨大な建造物まで多岐にわたります。
右の写真は、2015年の調査シーズンに発掘されたエリアの一つで、床面と傾斜のある「タリュ(talud)」と呼ばれる壁の跡を示しています。
一方、過去の人間活動の痕跡のうち、持ち運びはできないものの「建造物」とは呼べないものを「遺構(フィーチャー)」と呼びます。これには、地面に残された柱の跡(柱穴)や、意図的に並べられた石、火を焚いた跡、そして基盤となる岩を直接掘って作られた構造物(土坑や石櫃など)が含まれます。
次の写真では、基盤岩を直接削って作られた穴(ピット)を確認することができます。
参考文献:
Renfrew, C., and P. Bahn. 2007. Archaeology Essentials: Theories, Methods, and Practice. London: Thames & Hudson, pp. 304.



