近代初期におけるテオティワカンの姿
著者: Yolanda Peláez Castellanos
翻訳:西原玲名
今では、目の前の風景を撮影して記録に残すことは、とても簡単になりました。
たとえばテオティワカンを訪れる人々は、数えきれないほどの写真を撮り、それをすぐにSNSで世界中に共有することができます。
しかし、かつては画像を記録し、それを再現することは、今とは比べものにならないほど困難なことでした。 19世紀末から20世紀初頭に残された石版画(リトグラフ)や絵画、そして初期の写真は、テオティワカン遺跡が辿ってきた数々の変遷を今に伝える貴重な証言となっています。
石版画(リトグラフ)と初期の記録
18世紀後半に考案された「石版画(リトグラフ)」は、探検家たちが目にした光景を保存するために用いられた印刷手法です。
- 技法: リトグラフは、平らな表面(通常は石灰岩)に画像を描き、インクを塗布した後、その石を紙に押し付けて印刷します。
- 普及: このプロセスの登場により、19世紀当時、テオティワカンのピラミッドやその風景を描いた画像が広く流通することが可能になりました。
これらの初期の記録は、現在の整備された遺跡の姿とは異なり、土や植物に覆われ、自然の丘のように見えていた当時のピラミッドの様子を克明に伝えています。
それらのリトグラフは、近代考古学が本格的に始まる前の、貴重な歴史的証拠となっているのです。


©INAH
メキシコの画家、ホセ・マリア・ベラスコ(1840–1912)は、グメシンド・メンドーサによるテオティワカン遠征に同行し、その景観を絵画として記録に残しました。
テオティワカンは西暦550年頃に放棄された都市です。
ベラスコがこの地を訪れたのはそれから約1,300年後。
当時の建造物は、長い歳月をかけて生い茂った豊かな植生にすっかり覆われていたはずであり、彼はそのありのままの姿をキャンバスに捉えました。


ここからは、当時の貴重な写真をご紹介します。かつての遺跡の姿をお楽しみください。

©アメリカ哲学協会(American Philosophical Society)

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テオティワカンにおける最初期の考古学調査は、メキシコ独立戦争の100周年を記念して、20世紀初頭にレオポルド・バトレスによって開始されました。
バトレスは、当時のポルフィリオ・ディアス大統領から、遺跡の調査と一部のモニュメントの復元を委託されました。
そしてこのプロジェクトには、太陽のピラミッドの再構築や鉄道網の敷設、そして「農業の神殿(Temple of Agriculture),」における壁画の発見などが含まれていました(Batres 1993 [1919])。

© INAH

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当時の人々が身にまとっていた服装を目にすると、どれほどの月日が流れたのかを改めて実感させられますね。
ファッションは時代とともに大きく移り変わってきました。


テオティワカンの発掘、修復、そして再構築は20世紀を通じて継続されました。
ここにある残りの写真は、おそらく以下の調査に関連したものだと考えられています。
- マヌエル・ガミオによるプロジェクト(1922年):
ガミオはテオティワカン盆地の住民に関する包括的な調査を実施しました。彼のチームが成し遂げた成果には、「シウダデラ(城塞)」の発掘や、「羽毛ある蛇のピラミッド」およびそれに付随するアドサダ(前面の階段状構造物)の探査と修復が含まれます(図15–17)。 - ホセ・ペレスによる発掘(1939年):
アルフォンソ・カソの指揮下で、ホセ・ペレスが「シウダデラ」内での試掘坑の掘削や、「羽毛ある蛇のピラミッド」内部のトンネル調査を行いました(図18)。 - イグナシオ・ベルナルによる「テオティワカン・プロジェクト」(1963年):
先スペイン期記念物局長であったイグナシオ・ベルナルが指揮したプロジェクトです。歴史を解明するために発掘された建造物もありましたが、その多くは、都市が最後に機能していた時期(最終居住期)の外観を復元することを目的に再構築されました(図19–20)。






これらの写真は、20世紀前半のわずか50年ほどの間で、テオティワカンがいかに劇的な変貌を遂げたかを克明に映し出しています。
古典期に都市としての全盛期を終えてから、すでに長い年月が流れていますが、この遺跡は今なお、私たちの歴史を紐解く上で欠かせない存在であり続けています。
この先スペイン期の古代都市についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ『テオティワカン』の記事をチェックしてみてください。
ここでご紹介した画像の多くは、メキシコ国立人類学歴史研究所(INAH)のメディアライブラリで閲覧することが可能です。
参考:
Bernal, Ignacio
1997[1963] Teotihuacan: descubrimientos y reconstrucciones. In Antología de documentos para la historia de la arqueología de Teotihuacan, compiled by Roberto Gallegos Ruiz, José Roberto Gallegos Téllez Rojo, and Miguel Gabriel Pastrana Flores, pp. 594-615. National Institute of Anthropology and History, Mexico, D.F.
Batres, Leopoldo
1993 [1919] The “Discovery” of the Sun Pyramid. Arqueología Mexicana 2:45-48.
Gamio, Manuel
1922 La población del valle de Teotihuacan, Vol. I, 1. Dirección de Antropología, Secretaría de Agricultura y Fomento, Mexico, D.F.
Google Arts and Culture
s.f. Teotihuacan. Electronic document, https://artsandculture.google.com/asset/teotihuacan/KgEZFx_-t8JNxQ?hl=es-419, accessed February 23, 2021.
Pérez, José
1997[1939] Informe de los trabajos de Alfonso Caso y José R. Pérez. In Antología de documentos para la historia de la arqueología de Teotihuacan, compiled by Roberto Gallegos Ruiz, José Roberto Gallegos Téllez Rojo, and Miguel Gabriel Pastrana Flores, pp. 488-498. National Institute of Anthropology and History, Mexico, D.F.
Tate
2021 Art Term: Lithography. Electronic document, https://www.tate.org.uk/art/art-terms/l/lithography, accessed February 24, 2021.