過去の痕跡を探して:テオティワカン盆地の地表を読み解く
2017年の調査シーズン中、「石柱の広場プロジェクト」では、現地の考古学的な特徴を確認するために、LiDAR(ライダー/光検出と測射)という特殊な調査ツールを使用しました。
このリモートセンシング(遠隔探査)の手法は、GPS技術、慣性計測装置(IMU)、そしてレーザーを組み合わせることで、高度データを収集するものです。
これらのデータを統合することで、地形の表面を精細に捉えた「デジタル標高モデル(DEM)」を作成し、さらなる解釈や分析に役立てることができます。
この技術を使うことで、現在は農地やサボテン畑(ノパレラ)、現代の村々に埋もれてしまった、先スペイン期から植民地時代、そして歴史時代の痕跡を復元することが可能になります。
例えば、かつての耕作テラス、マウンド(人工的な盛り土)、そして「ハゲイ」と呼ばれる貯水池などの形や規模を鮮明に描き出すことができるのです。
地域住民との共生
地表調査を進める中で、私たちは土地の所有者の方々にインタビューを行い、過去の人々に関する歴史的な情報を集める貴重な機会にも恵まれました。
お話を伺った方々は、20世紀初頭までさかのぼるコミュニティの成り立ちや組織について、親や祖父母から聞かされた幼少期の思い出を語ってくださいました。
- 受け継がれる記憶:
サン・マルティン・デ・ラス・ピラミデス市のイシュトラワカ村では、Juan Guillermo Castro氏、Pablo Rivero氏、Alejandro Hernández Ramirez氏、Sebastián Medina氏といった方々が、村の中心にある貯水池しか水が得られなかった時代の話や、この一帯がかつて「アシエンダ・デ・セロ・ゴルド(セロ・ゴルド農園)」の一部だった頃の思い出を共有してくれました。また、Genoveva Diaz Albaさんとその娘さんたちは、1970年代に耕作をより良く行うために土地の形状を作り直した経緯などを教えてくれました。 - 寛大な協力:
中には、非常に寛大な協力をしてくださる方もいました。サン・ロレンソ・トラミミロルパのFilemon Macías Juárez氏は、ご自身の土地への立ち入りを許可してくださっただけでなく、一生をかけて収集された土器のコレクションを寄贈してくださいました。これにより、後世の資料との比較サンプルを増やし、この地域の「後古典期」の居住実態と照らし合わせることが可能になりました。
こうした地域の方々の協力と最新技術が合わさることで、テオティワカン盆地の歴史はより立体的に描き出されています。


土地所有者の方々の熱意と協力は、私たちが調査の目的を明確かつ透明性をもって共有してきた結果でもあります。多くの場合、地元の方々は他の機関から、あまり丁寧とは言えない形で接触を受けることも少なくありません。
だからこそ、私たちは明確なコミュニケーションと敬意を築くことを大切にしています。
自分たちの行っている作業を直接見ていただいたり、疑問や気づいた点に丁寧にお答えしたり、あるいは先方の都合やニーズに合わせてスケジュールを調整したりすることで、彼らが「状況を把握し、調査に関わっている」と実感してもらえるよう努めています。
謝辞
本調査にあたり、サン・マルティン・デ・ラス・ピラミデス市のイシュトラワカおよびサンタ・マリア・パラパの自治体・補助当局から多大なるご支援をいただいたことをここに記します。
また、サン・フアン・テオティワカンの各地区(バリオ・デ・プリフィカシオン、サン・セバスティアン・ショラルパン、サン・フランシスコ・マサパ、サンタ・マリア・コアトラン、サン・ロレンソ・トラミミロルパン)の皆さまにも感謝申し上げます。
最後に、アニマル・キングダム動物園をはじめとする民間団体の皆さまのご協力にも深く感謝いたします。