著書『Animal Matter』杉山 奈和
杉山奈和博士による著書『Animal Matter. Ritual, Place, and Sovereignty at the Moon Pyramid of Teotihuacan(アニマル・マター:テオティワカン「月のピラミッド」における儀礼、場所、そして統治権)』が、ついに発行されました。
本書は、テオティワカンの「月のピラミッド」にある献納遺構(儀礼のために埋められた跡)から発見された動物たちについて、動物考古学、同位体分析、図像学、そして発掘調査の記録を網羅した一冊です。
第1章の要旨の翻訳
この章では、メキシコ・テオティワカンの「月のピラミッド」の献納遺構から出土した、200体近い動物遺存体の研究を支える主要な登場人物(主体)と理論的枠組みを紹介します。
動物の肉体的な形態(遺体やその副産物)およびその表象(イメージ)といった「アニマル・マター(動物という実体)」は、関係論的な存在論において、社会的地位を持つ「活動的な主体(アクティブ・パーソン)」であると理解されます。動物の肉体的形態は、人間と動物の間の対人関係における通時的および共時的なパターンを、物質的な記録として留めています。
したがって、これらの遺存体は、動物の肉体的形態がいかにして儀礼のパフォーマンスに関与したのかを再構築するための、文脈に即した最適な情報を提供してくれます。国家による儀礼化されたパフォーマンスは、テオティワカンにおける統治権形成の過程において、人間、動物、そしてその他の能動的な主体たちの間で交わされた「社会的な取引」を読み解くための、特に有効な場となるのです。
この本が、皆さまにとって興味深い一冊となることを願っています!
